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JNC TJ1400 99-038, 83 Pages, 1999/02
本報告書は、核燃料サイクル開発機構の委託研究による「再冠水に関する原位置試験研究」をまとめたものである。ミニドーム(実験サイトのGL一50mGL82.5m間に構築した地下構造物の名称)埋戻し後に実施した再冠水から11カ月までの調査データをとりまとめている。神奈川県相模原市郊外に位置する相模川河川沿いの洪積台地上においてGL-82.5m間に構築した地下空間実験場周辺の地下水調査を行った。当該地盤は、GL-7mまではローム層により、またその下層厚14mまでは砂礫層が存在している。それ以深(GL一21m)の地盤はところどころに挟み層を含んだ泥岩層で構成されている。本調査は、1)ミニドーム埋戻し後に実施する再冠水過程における周辺岩盤の地下水環境変化の把握と2)地下水環境に対するモニタリングシステムの検証を行うため、泥岩層内に帯水する地下水の水圧、水温、pH、電気伝導率、および埋戻し工事で使用した埋戻し材(流動化改良土)から発生する固化熱によるミニドーム壁面の温度変化を計測した。さらに、浅層地下水と深層地下水の関連を調査するためコアおよび試錐孔内の地下水に対して安定同位体分析、また現地の浅層地下水で検出されている有機塩素化合物の有無を深層地下水に対して調べた。ここで、実施した再冠水過程は2回である。一つは、埋戻しlケ月後(Hl0.3.19)に計画通りに実施したもの(以下、第1回目再冠水と呼ぶ)と、もう一つは、埋戻し8ケ月後(Hl0.l0.6〉に水中ポンブの誤動作によって発生したもの(以下、第2回目再冠水と呼ぶ)である.その結果、地下50m以深の堆積軟岩中に構築した地下空洞を埋戻した後、再冠水を実施したことによる地下水環境変化の貴重な資料が得られた。そこで、これまで得られた知見をまとめると以下のようである。
山下 利之; 大内 金二*; 辻 利秀*; 加藤 徹也*; 落田 学*; 岩下 充成*
Journal of Alloys and Compounds, 271-273, p.400 - 403, 1998/00
被引用回数:4 パーセンタイル:39.22(Chemistry, Physical)(NpU)O(y=0.1,0.2)の電気伝導率()を1000C、酸素分圧10~10Paの範囲で、直流4端子法により測定した。電気伝導率の酸素分圧性は4領域に分割できる。10Pa以下の領域では、は酸素分圧にほとんど依存しない。10~10Pa及び10~10Paの領域では、はそれぞれ、10及び10の傾きで酸素分圧と共に増加する。このことから、これらの領域での主要な格子欠陥種は、それぞれ、Willisの(2:1:2)及び(2:2:2)の複合欠陥であると推定される。10Pa以上の領域では、の増加率は減少する。これらのlog vs.log(PO)曲線の特徴は、UOのものと基本的に同じであることがわかった。電気伝導率の温度依存性から求めた活性化エネルギーは、約0.3eVで、Np濃度に依存しない。
寺井 隆幸*
PNC TJ9602 97-002, 75 Pages, 1997/03
原子力材料は高温、熱過渡、放射線照射、液体金属腐食、イオン・粒子注入、電場、磁場などの各種極限条件下で使用されることが多く、このためこれらの条件下におけるそのふるまいを解明することが望まれているが、そのふるまいはこれらの環境因子の複合作用によりきわめて複雑になる。これら複合条件下における材料の特性変化についてはこれまであまり研究が行われておらず、基礎・応用の両面から興味が持たれている。本研究では、上記複合環境下における各種セラミックスの微細組織・組成・結晶構造の変化、照射欠陥や注入イオンの分布と存在状態の解析、電気伝導率などの物理的特性変化、腐食等による化学的特性変化や機械的特性変化などを検討・評価することにより、これらの複合条件下でのセラミックスの劣化・損傷の機構を解明し、高性能・高機能を有する新型セラミックスの創製研究に資することをその内容としている。本研究は昨年度に引き続き実施するものであり、セラミックコーティング材料について、フロンティア材料研究の一環として実施している高速炉冷却材としてのリチウムおよび核融合炉液体増殖材料の候補であるリチウム及びリチウム鉛(Li17-Pb83)との両立性やこれらの材料と接触した場合の電気伝導率の変化を測定した。その結果、ほとんどすべての場合にこれらの材料の両立性は熱力学的予測結果と一致したが、Y2O3の場合には、不定比性化合物Y2O3-Xや複合化合物LiYO2が生成することにより、その挙動が複雑になるという知見が得られた。
辻 利秀*; 内藤 奎爾*; 山下 利之; 藤野 威男*
Journal of Alloys and Compounds, 213-214, p.378 - 380, 1994/00
被引用回数:1 パーセンタイル:25.3(Chemistry, Physical)La(UPu)O(y=0.01,0.1)の電気伝導率を1273K、酸素分圧10~10Paの範囲で、四端子法を用い測定した。この固溶体の電気伝導率は酸素分圧に対して、3種類の依存性を示す。10Pa以下の低酸素分圧領域で、La(UPu)Oの電気伝導率は酸素分圧の増加とともに高くなる。同様な挙動が亜定比組成のLaUOでも観測されていることから、この固溶体にも亜定比組成を持つ相が存在することがわかった。中間酸素分圧領域では電気伝導率は酸素分圧に依存しない。La(UPu)Oの電気伝導率は、UPuOの値より、かなり大きくなる。この高い電気伝導率は、電荷の中性条件の結果生成したホールが、U-U間をホッピング伝導するためと考えられる。
東 邦夫*
PNC TJ1604 93-001, 102 Pages, 1993/03
人工バリアの中で埋め戻し材は、母岩とオーバーパックという、それぞれ硬いもの同士のあいだのクッションの役割をするもので、それにはベントナイトが考えられている。ベントナイトとは、主成分がモンモリロナイトといわれる層状結晶の粘土鉱物の粘土であり、低透水性、高イオン交換能力、高膨潤性、可塑性といった特徴を持っている。これらの性質により、上記の役割に加えて、廃棄物への地下水の浸透を制限し、また、放射性核種が漏れでた場合でも、それを吸着しその移行速度を遅くする等の重要な役割をする。そこで、多くの研究者によってベントナイトへの分配係数やベントナイト中での核種の拡散係数などが測定されてきた。本研究室においても、高畠によりトレーサーにトリチウム水 THOを用いた、圧密ベントナイト中の水の拡散係数の測定実験がなされた[3]。Cs+やSr2+等の陽イオンの拡散係数もトリチウム水の場合と同じ方法で他の研究者によって測定されている[4,5,6]。しかし、陽イオンの場合ベントナイトの特性からいって非常に長時間の拡散時間が必要なので、高畠が3Hで得たようなきれいなプロファイルはあまり得られていない。そこで、本研究では電気伝導度法を用いて、ベントナイト中での陽イオンの拡散係数の測定を行った。電気伝導度法は試料の電気伝導度とネルンストーアインシュタインの式から拡散係数を求める方法である。この方法は試料の電気的性質を調べるため、的確な実験方法と解析方法を用いれば、比較的容易に拡散係数を測定することができる。しかし、トレーサーを用いた実験と異なり、多くの異なるイオンが存在している場合、注目核種による影響を正確に評価することが非常に困難であるという欠点がある。本研究室で行った実験においてもそのことが報告されている[7]。ベントナイトは層間に交換性陽イオンとして、多くのNa+やCa2+などのイオンを持っているため、この方法をこのまま適用することは困難である。そこで、本研究ではベントナイト中の層間イオンを注目核種に置換したものをまず作成して、それを用いて電気伝導度法で拡散係数を測定した。また、ベントナイト中の層間イオンが変化することによる特性変化を、X線回析法を用いて、層間距離を測定することにより考察した。
藤野 威男*; 山下 利之; 大内 金二; 内藤 奎爾*; 辻 利秀*
Journal of Nuclear Materials, 202, p.154 - 162, 1993/00
被引用回数:11 パーセンタイル:72.08(Materials Science, Multidisciplinary)1273KにおけるUPuOの電気伝導率()を酸素分圧10~10Paの範囲で測定した。酸素分圧10Pa以下では、電気伝導率は酸素分圧に依存しないが、をyに対してプロットした曲線ではy=0.5付近で最大となった。この領域の電気伝導機構をホッピングスはスモールポーラロン理論に基づいて解析した。電気伝導率が最大を示す現象は不均化反応(Pu+U=PuU)を考慮することによりうまく説明できることがわかった。UPuOの電気伝導の活性化エネルギーは1273Kから急冷した試料を用いて測定した。求めた活性化エネルギーはy=0.05の0.52eVからy=0.90の0.75eVまで単調に増加した。この変化はウランイオン間での活性化エネルギーの値とプルトニウムイオン間での値が異なると仮定することで説明できた。不均化反応の速度は遅いため、急冷した際、UとPu濃度は温度に依存しないと考えられる。
佐藤 治夫; 芦田 敬; 小原 幸利*; 油井 三和; 梅木 博之; 石黒 勝彦
PNC TN8410 92-164, 31 Pages, 1992/09
高レベル放射性廃棄物の地層処分システムの性能評価においては、緩衝材として考えられているベントナイトや多種類の岩石中の核種移行に関する基礎データを必要とする。本報告書は、それらデータの一つである実効拡散係数について、ベントナイト及び岩石中での核種の拡散挙動に関する理論的・実験的背景を確認した上で性能評価に用いる値の設定について検討を行った。まず実効拡散係数の理論的背景を確認した上で、拡散に関するデータについて文献調査を行い、拡散係数に影響を及ぼす因子の観点から報告値を整理した。ベントナイトについては、クニピアF及びクニゲルVIの2種類の拡散データに関する技術的成果についてとりまとめた。一方岩石については、我が国に一般に分布する岩石について、既存のデータの信頼性について評価、検討を行った。以上から性能評価に必要となるベントナイト及び岩石の実効拡散係数の設定を行った。
青山 成夫*; 石井 卓*; 堀田 政國*; 安達 健男*; 堀江 芳博*; 穂刈 利之*
PNC TJ1060 92-001, 240 Pages, 1992/03
国内で開発された装置(HGP-Perm-10)を用いて、東濃鉱山正馬様洞AN-1号孔において、深部地下水の採水、水質計測、成分分析及び水理特性を測定し、地下深部の水理特性・地化学特性データの蓄積を図った。採水、水質計測は深度540.5560.5mの1区間で行い、総採水量は最終的に944lに達した採水期間は10日間に及び、得られた原位置センサーによる水質計測結果は、水温28.3、pH6.3、ORP-430mV、電気伝導度1890S/cmであった。フローセルセンサーによる地上での水質計測結果は、pH6.4、ORP-280mV、溶存酸素濃度0.25mg/l(換算値)であり、電気伝導度は不具合が発生し、正しく計測できなかった。また成分分析結果からは、Caと重炭酸イオンが多く、浅層地下水によく見られる水質を呈していた。また、D,18Oの分析値は当該地域の地表水と地下水との中間的な値であった。水理特性試験は(1)947951m(2)948952m(3)946950m(4)540.5544.5m(5)277.5281.5mで実施された。水理特性試験の内容は初期間隙水圧測定、定常注入試験、非定常試験であった。初期間隙水圧測定は水晶式圧力センサを用いて実施され、91.9226.29kgf/cm2の範囲の測定結果が得られ、深度に応じてほぼ静水圧分布していることがわかった。定常注入試験では、有効注入圧力と流量データの良好なリニアリティが得られ、410-8710-6cm/secの3オーダー弱の範囲の透水性を評価することができた。また非定常試験では、定流量ポンプにより111cc/minの範囲で一定流量制御がなされ、0.0130.28md( 110-8310-7cm/sec)の範囲の浸透性を評価することができた。
塚本 修已*
PNC TN7420 89-006, 76 Pages, 1988/11
月吉鉱床地域の水理学的特性を調査する指針を策定するため,同鉱床付近を対象にした水理地質調査,渇水期の水の流量・電気伝導度の測定,ボーリングコアの観察・検討及び表層水理地質構造解析を行った。この結果,次の知見を得た。1)地質調査地点の瀬戸層群の性状・分布。2)花こう岩の節理には2方向が卓越する。3)調査流域では流量と流域面積の相関性,瀬戸層群と流量の相関性も非常に高い。
高木 聖也; 高野 公秀
no journal, ,
MA核変換用燃料としてZrNを母材とした窒化物燃料が研究されている。MA核変換用窒化物燃料では20mol%から40mol%の幅広い組成でMA窒化物をZrN母材に固溶させるため、これまでに燃料設計上必要な組成での熱伝導率測定が少量のMAを用いたホット試験により行われてきた。今後、照射試験による物性評価の際、その熱伝導機構を詳細に把握しておくことが重要となるが、MAを用いたパラメトリックな試験は困難である。そこで本研究では、MAの模擬物質としてDy希土類元素を用い、DyZrN模擬窒化物試料の熱-電気伝導相間を明らかにすることで、MA核変換用窒化物燃料の熱伝導機構に関する基礎的な知見を得ることを目的としている。
渡部 雅; 加藤 正人
no journal, ,
不定比性酸化物中の欠陥濃度は酸素ポテンシャル、酸素拡散、電気伝導率を含む物性値と密接に関係している。本研究では、PuOの酸素ポテンシャルをBrouwer diagramを用いて評価するとともに、第一原理計算の結果を用いることでPuOの欠陥形成エネルギーを決定した。さらに酸素ポテンシャル、酸素拡散及び電気伝導率の温度依存性、O/M比依存性を記述することに成功した。
高木 聖也; 高野 公秀
no journal, ,
MA核変換用燃料としてZrNを母材とした窒化物燃料が研究されている。これまでに燃料設計上必要な組成での熱伝導率測定が少量のMAを用いたホット試験により行われてきたが、その熱伝導の物理的解釈に関してはいまだ不十分である。そこで本研究では、MAの模擬物質として希土類のDyを用い、DyZrN模擬窒化物燃料の熱-電気伝導相間を明らかにすることで、MA核変換用窒化物燃料の熱伝導機構に関する基礎的な知見を得ることを目的とした。模擬燃料の熱伝導率をレーザーフラッシュ法による熱拡散率測定から、電子伝導による熱伝導率を電気伝導率測定からそれぞれ求めた結果、熱伝導率の温度・組成依存性ともに電子伝導の寄与が支配的因子であることを明らかにした。